電話網

電話網

概要

生物情報科学は、コンピュータ科学と生物学の学際領域です。生物情報科学は、コンピュータ科学、数学、そして統計学のアルゴリズムや技術を用いて生物学の問題を解決します。例えば、文字列マッチング、編集距離、 そして行列などのコンピュータ科学のテクニックを使って、生物学者が (進化の) 系統樹を再構築することを可能にしています。この活動では系統樹を再構築する過程に子どもたちを参加させ、いくつかの主要な生物情報科学のコンセプトを子どもたちに紹介することができます。

教科学習との関連

  • [生物学]:進化
  • [生物情報学]:系統発生
  • [数学]:行列

年齢

  • 7 歳以上

必要な能力

  • 指示に従うことができる
  • 書くことができる
  • 基礎数学がわかる

教材

  • 教員に必要なもの
    • 10人以上の子どもたち
    • 事前に紙切れに書いた「秘密のメッセージ」
    • 黒板かホワイトボード
  • 9人の子どもたちに必要なもの
    • 秘密のメッセージを書くための小さな紙切れと鉛筆
  • その他の子どもたちに必要なもの
    • メッセージの経路を再構築するための紙と鉛筆
  • ワークシート
  • 授業用補足資料 filePDF

活動

  1. 発音のよく似た 4 つの単語群から選んだ、5 つないし 7 つの単語で構成されるメッセージを作ります。例えば、語群は
    chair、 prepare、 affair、 stair、 椅子、 肉、 菊、 ミク
    メッセージの例
    prepare prepare affair stair chair stair 肉 肉 菊 ミク 椅子 ミク
    ボードに4つの単語群を書き出し、「1番の生徒」と書かれた紙にメッセージを書いて、電話網を始めます。
  2. 電話網を構成する 9 人の生徒を選びます。リソースセクションにある紙をそれぞれの生徒に手渡します。残りの生徒は部屋から出します。
  3. 1 番の生徒にその紙に書いてあるメッセージを覚えて、その紙をあなたに戻すように言います。1 番の生徒に、覚えたメッセージを 2 番の生徒にささやき、その後に 3 番の生徒にもそうするように指導します。
    生徒がメッセージをささやけるのは 1 回きりです。
  4. 2 番と 3 番の生徒に、聞き取ったメッセージを自分の紙に書くように指導します。図 1 に示す木構造のように、記憶を頼りに、各生徒が該当の生徒にメッセージをささやくようにさせます。各生徒が聞き取ったメッセージを紙に書き取り、それを次の生徒に伝え、その紙をあなたに戻すというプロセスを、全員が完了するまで行ないます。
  5. 生徒がメッセージを書いてあなたに戻した紙を使って、簡単化のために各メッセージの単語を 1 文字に変 換します。例えば、もし 3 番目の生徒が
    prepare prepare affair chair stair affair 肉 肉 菊 椅子 ミク 菊 
    と紙に書いていたら、そのメッセージは次のようになります。
    ppacsa肉肉菊椅ミ菊
    そして、(A、B、C、D、E の生徒からの) 末端のメッセージに、新しい識別文字を割り当てて順番をバラバラにして下さい。
    例えば、メッセージ A はメッセージ X に、メッセージ B はメッセージ V という具合にします。
  6. 残りの生徒を部屋に戻します。
  7. ボードに図 1 から木構造を描いて下さい。そして、あなたがステップ 6 で付けた新しい ID で識別できる5 つの末端のメッセージを、バラバラの順番で、ボードの木構造の次に描いて下さい。例えば次のようにです。
    V: p a a s a c 肉 菊 菊 ミ 菊 椅
    W: p a s c a c 肉 菊 ミ 椅 菊 椅
    X: p p a s c p 肉 肉 菊 ミ 椅 肉
    Y: p a s s a c 肉 菊 ミ ミ 菊 椅
    Z: p p a s c s 肉 肉 菊 ミ 菊 ミ
  8. ここで、ボードに描いた木構造のどこにそれぞれの末端のメッセージがくるのか、残りの生徒に予想する よう聞いてみます。彼らの予想は紙かボードに書きます。
  9. 生徒が系統樹を予想した後で、種の距離行列を使って真の系統樹を再構築してみて下さい。(行列理論に ついては、解説を見て下さい)
    まず、図 2 に示すように、末端の各組のメッセージの距離の下位 3 者の 4x4 行列を構築します。この行列の距離はメッセージを比較した時の違い (突然変異) の箇所数を計算で求めたものです。
    例えば、V から W への距離は、3 番目と 4 番目の文字が異なるだけなので 2 になります。
  10. このステップでは、次のセクションで詳細を述べる、最大節約コンセプトを使って木を再構築します。行 列の最小要素を探して下さい。行列に複数の最小要素があることに気づくのがとても重要です。無作為に選ぶとその結びつきが壊れてしまいます。
    この例では、最小距離として V と Y を選んでいます。(例えば、Y と W とか Z と X も選べます。) 選ん だ要素の行と列の項目名をつないで下さい。それらは図 3 に示すように、共有ノード (親) で接続された 系統樹の 2 つの末端ノードになります。
    (a)選んだ行列の項目 (この場合は V と Y) は一つの項目に統合し、3x3 の下位 3 者間の新たな距離行列 を計算して下さい。この新しい項目の要素と残りの要素との距離を計算するのに、さっきの距離の算 術平均を使います。例えば、この行列において、(YV、 W) 要素は、図 2 の行列における (Y、 W) と (V、 W) の要素の平均になります。その結果の行列を図 4 に示します。
    (b)図 5 に示すように、3x3 行列から 2x2 行列を作るためにこの処理を繰り返して下さい。3x3 行列の最 小要素は (Z、 X) の 1 なので、これらの行列の項目は統合され、図 6 に示すような新たな上位ノード を形成します。
    (c)2x2 行列の最小要素を選択して下さい。これらの各ステップで、系統樹の新しい上位ノードが形成さ れました。
  11. この手順が完了した時の最終樹形図を示します。(図 9) あなたが今構築した樹形図の中に記号を「実際の」 A-E に置き換えて、最初の樹形図と比較して下さい。元の樹形図と計算で求めた樹形図が必ずしも一致し ないことに気づいて下さい。もし、計算で求めた樹形図が正しくなければ、生徒はこの不一致を指摘でき るでしょう。誤りの 2 つの大きな理由は
    (a)無作為に結びつきを壊した ― 1 つ以上の最小要素が行列にあって、誤った方を選択してしまった場 合と、(b)変異の中和 ― 最初に単語の変化した次に、それが元に戻る変化をしてしまった場合です。これら 2 つの変異はお互いを打ち消し合います。これにより、距離が 2 となるはずが 0 になります。

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