コンピュータとの会話

コンピュータとの会話

概要

コンピュータは知能を持つかといった問題提起をすることが、この学習のねらいです。どのようなことをコンピュータがして見せれば、あるいは、いずれか将来に、どんなことできるようになれば、がこのコンピュータは知能を持っていると言えるのでしょうか。初期のコンピュータ科学者は、もし人工知能なるものが作れたとしたら、これこれのようなことができるようになったときだという意見を持っていました。いま実現されているものの一部はその条件を満たしています。また、そんなに綿密に「知能」の存在証明を計画しても、すごく容易にだまされてしまいます。

技能

  • 話を聞くこと
  • なぜかを考えること

年齢

  • 9 歳以上

教材

  • 子どもごとに必要なもの
    • ワークシートのコピー filePDF
    • 答えのプリント filePDF
  • ワークシート
    • 応用と解説 filePDF
  • 授業用補足資料 filePDF

活動

ここでは、相手がコンピュータであるか人であるかを相手に質問をしてその答えを分析することで区別するというゲームの形で学習を行ないます。

4人の演者がいます。仮に「川田、川村、人見、近藤」と名付けることにしますが、名前の漢字のはじめの文 字が、あとで役割の区別に重要になってきます。
先生が司会をします。教室の他の人たちは観客です。
川田、川村は仲介役、人見、近藤は質問に答える役です。人見は、人間の答え方、一方、近藤は、コンピュータの振りをした答え方をします。
2 人のどっちがコンピュータの振りをしているのか、どっちが素の人間かをあてます。川田と川村は、公平に しないとなりません。質問を近藤に仲介する人見に仲介するのか、誰にもわからないようにします。近藤と人見 は、別室にいて、互いに離れていますし、しかも、観客からも離れています。

ゲームは次のように行ないます。
川田は、教室から質問を人見へ持っていき、川村は、同じ質問を近藤へ持っ て行きます(でも、どっちがどっちへ持って行くのかは内緒にします)。 川田、川村は答えを持って教室へ戻ります。こうして川田、川村という仲介者を作ったり、別室に人見と近藤を隠したりするのは、どっちがどうやって質問に答えたのか観客にわからなくさせるためなのです。
このゲームをする前に、役をする 4 人の子どもを選び、何をするべきかその子どもたちへ簡単に説明しておきます。

川田と川村は、それぞれの役へ質問を持っていき、教室へ答えを持って帰るという 1 往復をするのですが、「あいつが」とか、「あの子は」とかの呼び方で相手が誰であるかをばらしてしまわないように注意します。人見は、 短く、正確で、しかも正直に、聞かれた質問に対して答えます。
近藤は、ワークシートを参照して、答えを作ります。括弧で囲んだ部分は、台詞以外の指示です。答えを作るのにプリントをもとに作業をやり遂げる必要があります。川田と川村には、鉛筆と紙 とを持たせます。覚えられないほど長い答えとなる場合があるからです。

  1. ゲームをする前に、コンピュータが知能を持っているかどうか、また、いつの日かそうなるかどうか、 子どもの意見を聞きます。そして、どうやったらコンピュータが知能を持っているかを判定できるのかも聞き ます。
  2. 知能を判定する方法を紹介します。相手に質問をすることによって人とコンピュータとの違いを知ること ができるというものです。でも、もしコンピュータがこのテストを合格してしまったら、人とコンピュータの知 能の違いなんてものの信頼性が無くなってしまいます。
    川田と川村が教室の質問を 2 人に伝えること。その人見と近藤の 2 人は片方は人としての素の答えをして、他 方はコンピュータが答えるであろう答えをすること。そしてどちらがコンピュータの答えを答えているのか当て ることがこの時間の仕事であることを説明します。
    聞くことができる質問のリストを見せます。前に書いたようにコピーをして も OHP で投影をしても構いません。どれを最初に聞くか選ばせます。質問が選ばれたら、どうしてそれがコン ピュータと人とを区別するのによいと考えるのか説明させます。これを考えるのは、この活動でもっとも重要な 部分です。なぜなら、これによって子どもは、知能を持つ人間が答えられるけれども、コンピュータには答えら れないものについて、考えざるを得なくなるのです。
    川田と川村は質問を別室に運び、答えを持って戻ってきます。教室の子どもたちは、どちらがコンピュータの答えらしいかを話し合います。
    これを2・3回繰り返します。できればどっちがコンピュータかみつけられたと教室の子どもたちが確信するまで繰り返せれば望ましいです。もし、すぐにどちらがコンピュータかわかってしまったら、川田と川村とに見えないところでジャンケンをさせて役割を変えさせて、ゲームを続けます。
    コンピュータ役の近藤が読む台本は、「知的」なコンピュータが生成していると思えなくはないものです。一部の答えはコンピュータのようにすばやく出てきます。例えば、2の平方根を 20 桁にも及んで覚えられている なんてほとんど無いでしょう。また、その教室の子どもたちを含むほとんどの人は、まったくそんな質問には答 えることはできません。その答えを得たときにコンピュータの仮面をはがす質問もあるのです。
    例えば、「~は好きですか?」の答えは、その人ならではの答えとしてもっともらしく響きます。でも一度あ るものに出会うと、単純な公式によってその質問に対する答えが作られているのがばれてしまうのです。また、 人はこのような間違えをしないだけども、コンピュータなので質問の意味を取り違えてしまっているのを示して いる答えもあります。
    多くの答えは凡庸ですが、安全でもあります。しかし、質問を続けることでコンピュータは、本当には、物事を理解してはいないのだということを、恐らく暴くことになります。「知らない」と答えることは、コンピュー タにとって安全どころか、もっと人間っぽく思わせるのに役立ちます。子どもが「知らない」と答えることも、 例えば「2の平方根は?」と聞かれたときのようによくあることだからです。でも、それを多用しすぎても、あ るいは、すごく簡単な質問にもそう答えたときにも、化けの皮がはがされることになるのです。
    コンピュータ役にとって、質問者にこれらの答えが人間によるものだと思わせることが目的となると、撹乱させるために一部の答えをわざと加工する、例えば、反応を遅くしたり、算数の計算間違えをしてみせたりすることになります。こうなってくると議論の火に油を注ぐことになります。

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